トニー賞7冠に輝いた名作ミュージカルが日本上陸!思わず口ずさみたくなる楽曲たちと、窓拭きから大企業で成り上がっていく青年フィンチに魅了されました。(2020年9-10月、東急シアターオーブ・オリックス劇場)

ダニエル・ラドクリフも主演を務めたコメディ

本作はブロードウェイで1961年に初演を迎え、2011年にはハリー・ポッターで知られるダニエル・ラドクリフが主演を務めたことで話題に。2011年版のクリエイティブチームに加わっていたクリス・ベイリー氏が2020年日本版の演出を手がけています。

日本版の主演は、ダンスも歌も実力派として知られるNEWSの増田貴久さん。笹本玲奈さんや春野寿美礼さん、ブラザートムさんなど多方面の豪華キャストが集結しました。

作品の魅力は、なんといってもコメディらしく心を軽やかにしてくれる楽曲たち。ビジネスマンには欠かせない「コーヒー」を歌った曲や、会社に従順に従う男の歌などなど。そこに華やかでリズミカルなダンスが加わり、観客を圧倒します。

コメディの裏で、企業の奇妙なカラクリを暗喩

地道な努力を続けた人間が出世する、とも限らないビジネスの世界。なぜか社長や上司に気に入られ、あっという間に出世していく同僚に心当たりがある方も多いのでは?

主人公・フィンチは、まさにそんな人物。スキルを磨くより、世渡り上手に出世街道を駆け上がるその姿は一見すると嫌われやすいタイプ。ビジネス界の皮肉を含みながら、それを感じさせない可愛らしさで観客を惹きつけます。アイドルとして活躍する増田貴久さんにはまさにハマり役!今後の再演を期待してしまう好演でした。

SaitoYurika
Yurika

奇しくもコロナ禍に上演されることとなった本作。楽曲と作品のハッピーなオーラに包まれ、ひとときの夢心地を堪能しました。