画家やアイドル、シンガーソングライター、女優。華々しいスターの影には、いつ夢が叶うかも分からない、不安で押し潰されそうな芸術家たちがいる。「ここではないどこかを夢見て」。そんな芸術家たちが住まうアパートを描いた劇団「一茶企画」のミュージカル『最後の晩酌-TOKIWA DAYS-』を観劇してきました。(2021年3月・アトリエファンファーレ高円寺)
夢を追う美しさと切なさが詰まった「トキワ荘」
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会社をリストラされた大善がやってきた「トキワ荘」は、歌手やアイドル、女優を目指す若者たちだけが入居できる激安物件。いつか売れることを夢見る曲者揃いの入居者たち。つい売れているアピールをしてしまう女優・下間や、配信ライブの視聴数が3人のアイドル・河北の理想と現実のギャップに悩む姿に、切なさが募ります。そんな彼らを優しく見守る大家の十条。
作品を観ながら思い出したのは、Netflixで配信された『スタートアップ 夢の扉』でのエピソード。ブランコを漕ぎたがる少女が、怪我を心配する親にブランコの下に砂を敷き詰めてくれと提案。それを聞いた女性が、スタートアップ企業が失敗を恐れずに挑戦できるようサポートする「サンドボックス」という支援施設を立ち上げると言うもの。
夢を追う彼らにとって、トキワ荘の仲間や十条さんは、傷ついてももう一度立ち上がろうと思えるブランコの砂のような存在なのかもしれません。
実力派の歌を小劇場で堪能!4/3まで配信視聴可能
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楽曲やストーリーには少し荒削り感が残るものの、特筆すべきは女性陣の歌声の素晴らしさ。女優・下間を演じた尾川詩帆さんとアイドル・河北を演じた原田里奈さんの透き通る、心を掴む歌声に酔いしれました。(下間と河北役はWキャスト。筆者が観劇したのは白チームです)
また、作品にコメディ要素をもたらす配達員・冷泉役の山田拓未さんの演技力、無口な画家・石野の心の葛藤を描き出す関廣貴さんのコンテンポラリーダンスも圧巻。作品に深みを与えてくれます。
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劇場公演は終了しましたが、配信チケットが4/3まで何度でも視聴可能。3カメラで役者の表情を捉え、映画のような迫力で楽しめます。公式サイトはこちら