ロンドンのサウスバンク地区。テムズ川沿いのリバーサイドウォークにはロンドン・アイ(観覧車)や水族館があり、観光客やファミリーで賑わいます。川の曲がり角に位置するナショナルシアターは圧倒的な存在感を放つ、世界でも指折りの劇場です。

01 世界中が注目する演劇の発信地

ナショナルシアターは1976年、現在の所在地に3つの劇場を構えました。近年の話題作は、第一次世界大戦下の少年と馬の絆を描いた『ウォー・ホース〜戦火の馬〜』(2007–2009)。パペットで表現する馬の生命力が注目を集めたこの作品は、大劇場オリヴィエシアターで初演されました。

演劇界の権威とも言えるこの劇場では、シェイクスピア戯曲を中心に、著名な演出家と俳優陣が世界トップレベルの演劇を披露してきました。 「世界のニナガワ」こと蜷川幸雄さんもそのひとり。代表作の『NINAGAWAマクベス』『王女メディア』などを上演し、ロンドンの演劇ファンに強烈な印象を残しました。

優れた演劇作品を映画館で上演する取り組み、ナショナルシアターライブ(以下NTLive)も大好評。一般向けの公演で収録される映像は、ライブ配信や後日上映で世界60ヵ国に届けられます。収録日に観劇すれば、あなたも観客としてNTLive映像に映り込めるかも?気になる方は、事前に公演スケジュールで収録日をチェックしておきましょう。

02 まるで要塞!観光地としても楽しめる劇場

巨大迷路や要塞を思わせる無機質な外見もナショナルシアターの魅力。テムズ川を隔てた対岸の劇場密集エリアとは一線を画す、凛とした孤高の佇まいです。特徴的なコンクリートの外壁は、ブルータリズムという現代の建築様式。夜はライトアップで幻想的な表情を魅せてくれます。

四方から出入りが可能な構造で、隣接するウォータールー橋からも敷地内に入ることができます。建物の扉は常に開かれているので、屋内の書店やコーヒーショップ目当てに、気軽に立ち寄ってもOK。テムズ川と中心街が一望できるテラス席はひと休みにピッタリです。

演劇街ロンドンで文化の中核を担うナショナルシアター。観劇目当てに訪れるもよし、ふらりと散策するもよし。ロンドン観光の際にはぜひ訪れてみて下さいね。