演劇をよく知らない人の中には、「わざわざ高いお金を払って舞台を見に行かなくても、DVDで映画でも見ればいいじゃない」という方もいるでしょう。そんな方のために、今回は演劇と映画の違いをご説明します。

01 製作者が制作した“完成品”を鑑賞する「映画」

映画は演出家が伝えたい内容・ストーリーを、画面に投影して観客に届けます。一度世に出してしまうと修正が出来ません。なので、観客の反応も想像しながら演出家は構図や演出効果などを検討していくわけです。映画の楽しみとは、製作者が何度も撮り直し最高の状態にした、いわゆる”完成品”を鑑賞し、それぞれが製作者のメッセージを受け取ることにあるのです。

02 製作者と観客が一緒に“完成させる”のが「演劇」

一方、演劇は「ナマモノ」。観客のリアクションが良く、俳優の気持ちが盛り上がれば演技にも熱が入ります。逆に冷やかな反応だと、緊張して固くなってしまうことも。観客次第で俳優の演技が変化するんです。そのため演劇作品は、演出家や俳優だけが一方的に作るのではなく、「観客によって作られる」と言われています。観客も“作品作りに参加するぞ”という気持ちで観劇することも楽しみに一つになるかもしれません。

観劇をするときには、自分の感情をさらけ出して、素直に反応しましょう。より楽しく、より感動する上に、作品もより素敵になるかもしれません。また、気に入った作品は一度だけでなく何回か見てみましょう。作品の変化も楽しむことができますよ。