2019年に日本で上演された新作ミュージカル『アナスタシア』。「皇女アナスタシア生存」の噂が広がるロシアで、記憶喪失の少女アーニャが詐欺師と手を組み、「偽アナスタシア」としてパリへ向かう物語です。ブロードウェイから日本にやってきたこの作品は、映画、梅芸版、宝塚版の3つのコンテンツで展開されました。それぞれの違いを徹底解説します。

01 隠れた名作!アニメ映画版『アナスタシア』

ミュージカルの原作となったのは、1997年公開の20世紀フォックス制作のアニメ映画『アナスタシア』です。ロマノフ一族の滅亡は、映画では悪い魔法使いラスプーチンの仕業になっています。

『美女と野獣』や『ライオンキング』など、これまでミュージカル化されてきたアニメ映画と比べれば『アナスタシア』の認知度は低いかもしれません。ですがアニメーションの美しさと素晴らしい楽曲は高く評価され、アカデミー賞の主題歌賞と音楽賞にノミネートしています。メグ・ライアンやクリストファー・ロイドなど名だたる人気ハリウッドスターがキャスティングされた豪華な吹き替えにも注目です。Amazon Primeはこちら

02 豪華キャストで日本初上演!梅芸版『アナスタシア』

2020月3月1日から4月18日まで、梅田芸術劇場が東京と大阪でミュージカル『アナスタシア』を日本で初めて上演しました。主人公のアーニャ役には、ドラマでも活躍する女優の葵わかなさんと実写版映画『アラジン』でジャスミン役の吹き替えを務めた木下晴香さんの2人が抜擢されました。

アーニャを導く詐欺師のディミトリは、舞台作品で大活躍の海宝直人さん、相葉裕樹さん、内海啓貴さんがそれぞれ熱演。さらにディミトリの相棒ヴラド役の1人には、映画版でディミトリの吹き替えをした石川禅さんが起用されました。

このように、豪華キャストが集まって作られた梅芸版『アナスタシア』。コロナウイルスが流行して間もない頃の公演でしたが、観客の期待を裏切らない魅力的な世界を見せてくれました。

03 アーニャがモテモテ!?宝塚版『アナスタシア』

2020年11月7日から2021年2月21日までは、宝塚歌劇団の宙組が兵庫と東京で『アナスタシア』を上演。宝塚版ではディミトリの心情がより濃厚に描かれ、アーニャに恋するディミトリを宙組トップスターの真風涼帆さんが丁寧に演じました。

梅芸版ではアーニャのソロナンバーであった「Journey To The Past」がディミトリとのデュエットになっていたり、ディミトリのソロナンバー「She Walks In』が宝塚版のためだけに作られたりなど、オリジナル要素も多く含んでいます。

さらにアーニャの敵である新政府の役人グレブは、宝塚版では彼女に心を奪われてしまうのです!芹香斗亜さん演じるグレブは、星風まどかさん演じるアーニャを新政府の敵としてではなく1人の女性として愛しそうに見つめます。アーニャをめぐる、2人の男性の葛藤にも目が離せません。Blu-ray購入はこちら

かわぐちさきこ
さきこ

ミュージカル『アナスタシア』を、映画版、梅芸版、宝塚版の3つの観点から比べてみました。ストーリーや音楽はほとんど同じですが、それぞれに違った魅力があります。映画版と宝塚版に関しては、DVDも発売されているのでぜひ観てみてください。それぞれ観比べてみると、『アナスタシア』の世界をより楽しむことができます。