1989年にロビン・ウィリアムズ主演で公開された映画『いまを生きる(原題:Dead Poets Society)』。2016年にオフ・ブロードウェイで舞台化され、日本版は2018年に初演を迎えました。初演に続いてキーティング先生を務めた佐藤隆太さんの温かな授業と、生徒たちの無垢に詩の世界に向き合う姿に心打たれました。(2021年1月新国立劇場 中劇場)

教科書を破れ!全寮制の厳しい学校に現れた破天荒なキーティング先生

本作の舞台は、アメリカにある全寮制の厳格な学校。規律を重視し、アメリカトップの大学に進学することを目指します。そこに現れたのが、佐藤隆太さん演じる英語教師のキーティング先生。詩について論理的に解説した教科書を「破り捨てろ!」と告げ、自分自身の心で詩を読むことや自分らしく生きることを説いていきます。

ある授業では机の上に立ち、視点を変えるといつもと異なる景色が見えることを教えます。一見破天荒に見える行動ながら、人生で重要なことを教えてくれるキーティング先生。彼の授業をもっと受けたい!といつの間にか生徒気分で作品にのめり込んでいきます。

“僕達は心の声を聞きながら、その意味を知ろうとしない”

舞台のタイトルとなっている“いまを生きる”とは、古代ローマの詩人ホラティウスの詩に登場する「カーペディエム」というラテン語の日本語訳。キーティング先生から学んだこの言葉を元に生徒たちは自分らしく生きようとしますが、厳格な校長や親がそれを阻みます。

彼ら同様、人は様々なしがらみに縛られています。“いまを生きる”という重要なことが、いかに難しいか。佐藤新さん演じる内気な少年・トッドがキーティング先生に導かれ、叫ぶように読んだ彼の詩には次の一節があります。“僕達は心の声を聞きながら、その意味を知ろうとしない”。自分は今、心の声に従って生きているか。そして今の世の中は、全ての人が心の声に従える世界か。深く考えさせられる作品でした。

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本作は1月31日まで新国立劇場 中劇場にて上演。2月は大阪・愛知公演が予定されています。公式サイトはこちら